【司法試験予備試験】R4短答解説(民法)

問1

ア○ 認知は取り消すことのできる行為に当たらない(780、120Ⅰ)※本人も取り消すことはできない(785)

イ× 「その営業に関しては」(6Ⅰ)

ウ× 自ら取り消すことができる(120Ⅰ)

エ○ 追認の要件(124Ⅰ、Ⅱ)

オ× 制限行為能力者の詐術(21)


問2

ア○ 債務を保証した者は取消権者に含まれない(120Ⅰ)

イ○ 追認とは取消権を放棄すること。それにより有効が確定し、一度追認した行為は、他の取消権者によっても取り消すことができない。法律関係の安定をはかるため。

ウ× 取り消しの意思表示は、相手方であるCにすればよい(123)

エ× 「現に利益を受けている限度において」(121の2Ⅲ)

オ× 追認することができる時から5年、行為の時から20年(126)


問3

ア×  指図による占有移転の場合、代理人であるBの承諾は必要なく、第三者であるCの承諾が必要である(184)

イ× 登録が必要な動産は、登録によって引き渡しが擬制されるため、登録の先後によって優劣が決まる。

ウ× Bは占有改定によって有効に引き渡しを受けているため、所有権を取得する。無権利者となったAから現実に引き渡し受けたCは、悪意であるため、即時取得をもってBに対抗することができない。

エ○ 占有改定によって引き渡しを受けた場合は、外観上の占有を信頼して取引した人を保護するため、即時取得をもって対抗することができない。

オ○ 簡易の引き渡し(182Ⅱ)


問4

ア× 第三者が共有物を侵害した場合の損害賠償請求権は各共有者の持分の割合に応じた分割債権になる。(427)

イ× 農地から宅地にすることは共有物の変更にあたり、共有者の1人が無断で共有物の変更をすることは、他の共有者の持分権の侵害となるので、他の共有者は単独で原状回復請求ができる。

ウ○ 共有物に関する負担(253Ⅰ、Ⅱ)

エ× 新たに発生した権利ではないので、原始取得するわけではない。

オ○ 共有に関する債権の弁済(259Ⅰ)


問5

ア× 地上権は自由に譲渡できる(343)

イ× 譲渡する際の土地所有者の承諾は不要である。

ウ× 地下又は空間を目的とする地上権(269Ⅰ)

エ○ 地上権の存続期間については定めがない(268Ⅰ)

オ○ 地代については支払わない旨の設定も可(266Ⅰ)


問6

ア× 占有が不法行為によって始まった場合は留置することができない(295Ⅱ)

イ○ 留置権は物権であり、誰にでも主張できる。よって、転得者であるCに対しても主張できる。

ウ× 留置権には優先弁済的効力がないため、物上代位することができない。

エ× 一度無許可で賃貸した事実は変わらないので、留置物が返還されたことに関係なく、債務者は留置権の消滅を主張できる(298Ⅱ、Ⅲ)

オ○ 「訴えを提起したとき」とは、占有回収の訴えに勝訴し、現実に占有が回復することを意味する(203)この場合、占有を奪われていた間も占有を継続していたものとみなす。よって、留置権は消滅しない。


問7

ア× 第三債務者は、質権設定者から通知を受ける前に債務が消滅した場合、当然に質権者に対抗できる(468Ⅰ)

イ○ 債権譲渡登記ファイルへの設定登記は、確定日付のある証書によってしたものとみなす(動産債権譲渡特例法4、14、民法467Ⅱ)

ウ○ 債権者による債権の取り立て等(366Ⅰ、Ⅱ)

エ○ 債権者による債権の取り立て等(366Ⅲ)

オ× 質権の被担保債権の範囲(346)


問8

ア○ 本来の債務の履行ではなく、履行の提供をしたにすぎない場合には、その履行が継続されない限り、同時履行の抗弁権を失わない。

イ× 受領遅滞「自己の財産に対するのと同一の注意をもってすれば足りる」(413Ⅰ)

ウ○ 受領遅滞(413Ⅱ)

エ○ 弁済の提供の効果(492)それ以降は債権者が受領遅滞の責任を負う(413)

オ× 目的物の滅失等についての危険の移転(567Ⅱ)


問9

ア× 将来債権の譲渡性(466の6Ⅲ)

イ× 「同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催促をし」(466Ⅲ、Ⅳ)

ウ○ 債権の譲渡性(466Ⅲ)

エ○ 譲渡制限の意思表示がされた債権に係る債務者の供託(466の2Ⅰ)

オ× 譲渡制限の意思表示がされた債権の差押え(466の4Ⅱ)


問10

ア○ 第三者のためにする契約(537Ⅰ、Ⅲ)

イ× 第三者のためにする契約の効力(537Ⅱ)

ウ○ 第三者の権利の確定(538Ⅰ、537Ⅲ)

エ○ 第三者の権利発生後の契約の解除(538Ⅱ)

オ× 債務者の抗弁(539)→同時履行の抗弁(533)


問11

ア○ 使用貸借の解除(598Ⅱ)

イ○ 期間の定めのない賃貸借契約の解約の申し入れ(617Ⅰ)

ウ× 請負人が契約を解除することはできない(641)

エ○ 委任の解除(651)

オ× 寄託物受取り前の寄託者による寄託の解除等(657の2Ⅱ)


問12

ア× 不動産賃貸の先取特権の被担保債権の範囲(316)

イ× 敷金の充当(622の2Ⅱ)

ウ× 賃貸借契約が終了し、かつ賃貸物の返還を受けた時に、敷金返還義務が生じる(622の2Ⅰ①)。特別の約定がないかぎり、同時履行の関係には立たない。

エ○ 敷金返還義務(622の2Ⅰ②)

オ○ 「敷金の返還にかかる債務は譲受人又はその承継人が承継する」(605の2Ⅳ)。敷金の充当について明文の規定はないが、判例は旧賃貸人に対する債務額を控除した敷金返還債務は新賃貸人に承継されるとしている。


問13

ア○ 701条は650条3項を準用していない。

イ× 「現に利益を受けている限度において」その償還を請求することができる(702Ⅲ)

ウ× 事務管理には、管理者と本人の間に権利義務を発生させるのみで、代理権が授受されるわけではない。

エ○ 委任の規定の準用(701)→受任者による報告(645)

オ○ 緊急事務管理(698)


問14

ア× Dは「配偶者の嫡出である子」に当たらない(795)

イ○ 協議上の離縁等(811Ⅱ)

ウ○ 離縁による親族関係の終了(729)

エ× 養親子関係は複数の縁組が成立可能と解されており、離縁しなくても他の者の養子となることができる。※転縁組

オ× 「監護すべき者」という規定はなく、父母の同意が必要である(817の6)


問15

ア○ 遺言能力(962)

イ○ 遺産の分割の方法の指定(908Ⅰ)

ウ○ 被後見人の遺言の制限(966Ⅰ)

エ× 遺留分制度は、相続人に一定の遺産を留保させて保護する趣旨のもと、遺留分権を認めたものであるから、遺留分が侵害されたからといって遺言が無効となることはない。

オ× 「遺言の方式に従って」(1022)