【司法試験予備試験】R4短答解説(刑法)
問1
1× 使用目的に沿う動作をさせないこと、又は使用目的に反する動作をさせることが必要である(234の2Ⅰ)
2○ (234)現に業務妨害が発生したことを要せず、業務を妨害するに足りる行為をもって足りる。
3× (233)人の業務を妨害するため、他人の不知又は錯誤を利用する意図を持って、錯誤を生じさせる手段を施すことをいい、偽計業務妨害罪が成立する。
4○ (233)経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものである。
5× (233)被害者の面前で行使される必要はなく、威力業務妨害罪が成立する。
問2
ア○ 実力行使が刑罰法令に触れることがあっても、35条により、罰せられない。
イ× (130、35)住居侵入罪が成立しないのは、正当な行為にあたるからであって、労働争議は法令による行為ではない。
ウ× (230)防御権の行使ではない。名誉毀損罪が成立する。
エ× (246Ⅰ)正当な業務による行為ではない。経済活動における社会通念上許容される範囲を逸脱しており、詐欺罪が成立する。
オ× (205)宗教上の行為といえど、行為の態様及び結果からすると、社会生活上正当な行為とはいえない。
問3
①b②d③e④g⑤j
問4
背任罪(247)
ア○ 財産上の損害を発生させる危険をも包含する。
イ○ 「事務」には法律行為のみならず、事実行為も含まれる。担保価値保全の任務は他人である質権者に対して負う。
ウ× 背任罪は、買い手がいなくても成立するため、甲と乙は必要的共犯の関係に立たない。甲に背任罪の共同正犯が成立する。
エ× 条件が成就しておらず、抵当権を設定していないので、「他人の事務を管理する者」とはいえず、背任罪は成立しない。
オ○ 抵当権を設定しても「他人の物」ではないので、横領罪は成立しない(252Ⅰ)
問5
ア○ 犯行時に精神の異常が認められるかどうかである。
イ× 一律に処罰の対象外としている(41)
ウ× 原因において自由な行為として、責任能力を否定することが妥当でないと認められる場合を除き、39条2項が適用される。
エ× 39条2項は必要的減軽である。
オ○ 行為者の容態や、犯罪の態様、性質等によって、個別具体的に判断する。
問6
1× 死傷結果は基本犯に随伴する行為から生じたものを含む。準強制わいせつ致傷罪が成立する(178Ⅰ、181Ⅰ)
2× わいせつ目的に関して、平成29年に判例が変更され、性的意図を必要としないと判示した。
3○ 少数人に対して行われた場合でも、反復継続する意思により行われたときは「頒布」にあたる(175Ⅰ)
4× 「わいせつ」については、作品全体における割合、芸術性、思想性、販売や広告の方法等を総合考慮して判断する。※相対的猥褻文書の理論
5× 「有償頒布する目的」とは、日本国内における目的に限られる(175Ⅱ)
問7
①a②d③f④g⑤j⑥k⑦n
問8
1○ 結局は同一の財産的利益の保護であるから、重い強盗殺人罪(240)で処断すべきである。
2○ 凶器準備集合罪(208の2Ⅰ)について、判例は公共危険罪説の立場をとっている。
3× 別個の行為であるから、両者は併合罪(45)となる。
4○ 別の客体に対する別個の行為である。
5× 別の客体に対する行為であるから、併合罪(45)である。
問9
1× (225の2)「安否を憂慮する者」には、単なる同情から安否を気遣うに過ぎないとみられる第三者は含まれない。
2× (224)欺罔行為は、他人を自己の支配下に置く手段に過ぎず、保護者、監護者に対するものでもよい。
3× (288の2)「安全な場所」とは、被拐取者がその近親者及び警察当局などによって安全に救出されると認められる場所をいい、被拐取者が救出されるまでの間に具体的かつ実質的な危険にさらされるおそれのないことを意味する。
4○ (224)保護法益は、被拐取者の自由と監護権の両方であると解される。
5× (224)監護者であっても、被拐取者の自由ないし他方監護者の監護権を侵害し得る。
問10
A説(旧過失論)B説(新過失論)C説(新新過失論)
ア× 信頼の原則は、予見可能性が認められない場合を類型化したものと考えられる。
イ○ 結果発生の現実的危険性に対する行為者の認識が問題になる。
ウ○ 基準行為から逸脱したかの判断を、行政取締法規の定める基準に準拠することになる。
エ× A説(旧過失論)に対する批判である。
オ○ C説の批判となっている。
問11
ア× (159Ⅰ)文書の内容を認識した上で署名押印しているため、偽造にはあたらない。間接正犯でもない。甲には詐欺罪(246Ⅱ)が成立する。
イ× (163の2Ⅰ)クレジットカードを不正作出しているわけではないので、電磁的記録不正作出罪(161の2Ⅰ)が成立する。
ウ○ (155Ⅰ、158Ⅰ)「行使」とは、相手の認識下に置くことであり、「行使の目的」は、本来の用途にしたがって使用することに限らず、真正な文書として、その効用に役立たせる目的があれば足りる。
エ○ (159Ⅰ)架空の情報であっても、人格の同一性に齟齬があるため、「偽造」にあたる。
オ○(159Ⅰ)「偽造」とは、作成権限のない者が他人の名義を冒用して新たに文書を作成することをいう。
問12
ア× 見解によれば、保護責任のない者の置き去り行為は不可罰となる。
イ○ 見解に対する批判となり得る。
ウ○ 置き去りを含むとするので、成立する。
エ○ 見解に対する批判となり得る。
オ× 「場所的離隔を生じさせることにより、要扶助者を保護のない状態に置くこと」「生存に必要な保護を行わないこと」をもって直ちに成立し、具体的危険性を必要としない。
問13
ア× (230Ⅰ)「公然」とは、摘示された事実が不特定又は多数人が認識し得る状態をいう。
イ× Bは未成年者ではないので、客観的構成要件に該当せず、未成年者略取罪(224)は成立しない。乙には生命身体加害目的略取罪(225)が成立する。
ウ○ 208条の「暴行」は、人の身体に向けられた有形力の行使(狭義の暴行)であると解される。
エ× 現金を引き出せば窃盗罪(235)だが、他の口座に送金する行為には、電子計算機使用詐欺罪(246の2)が成立する。
オ× 丙の行為は犯人隠避罪(103)にあたる。「隠避」とは、蔵匿以外の方法により、官憲からの逮捕を免れさせる一切の行為をいい、身代わり出頭はこれにあたる。