【司法試験予備試験】R4短答解説(商法)

問16

ア× まず定款の作成及び認証が行われ(26Ⅰ)、次に出資の履行がされる(34Ⅰ)

イ× 出資の履行後、発起人の議決権の過半数をもって、遅滞なく選任しなければならない(38Ⅲ、40Ⅰ、Ⅱ)

ウ○ 株式会社の成立前は定款の変更をすることができない(30Ⅱ)

エ○ 発行可能株式総数の定め等(37Ⅱ)発行可能株式総数(113Ⅱ)※出資するということは、株式の交付を受けることである。

オ× 検査役による調査を省略した場合は、設立時取締役の調査は必要ない(46Ⅰ①)


問17

キャッシュアウト

ア× 株式の併合と全部取得条項付種類株式の取得については株主総会決議が必要であるが(180Ⅱ、171Ⅰ)、特別支配株主の株式等売渡請求においては、株主総会決議を経ない(179の2Ⅰ)

イ○ 一に満たない端数の処理

株式の併合(234Ⅰ②、Ⅱ)全部取得条項付種類株式の取得(235Ⅰ、Ⅱ)

ウ○ 特別支配株主の株式等売渡請求(179Ⅱ)株式の内容についての特別の定め(107Ⅱ③ホ)全部取得条項付種類株式の取得に関する決定(171Ⅰ①ハ)

エ× 「議決権の10分の9以上」(179Ⅰ)

オ○ 株式交換(768Ⅰ②、④)


問18

ア○ 流通の安全ではなく、もとの株主を保護する立場である。

イ× 「公開会社でない株券発行会社は」(215Ⅳ)

ウ× 株券を発行しない旨を株主名簿に記載又は記録をした時において無効となる(217Ⅴ)

エ○ 株券の無効(228Ⅰ)

オ○ 株券を発行する旨の定款の定め廃止した場合における株券喪失登録の抹消(227)


問19

ア× 「分配可能額を超えているときは適用しない」(170Ⅴ)

イ× 「単元未満株を売り渡すことを株式会社に請求できる」のではなく、「単元未満株売渡請求をすることができる旨を定款で定めることができる」と規定されているため、定款の定めがなければ請求することができない(194Ⅰ)

ウ○ 311条4項の「株主」の定義について、310条7項かっこ書きに規定されている。 

エ× 「募集株式の〜2分の1を超える場合」と「総株主の議決権の10分の1以上〜反対したとき」は別の規定である(206の2Ⅰ、Ⅳ)

オ○ 議事録(394Ⅱ)


問20

ア○ 非公開会社は取締役会の設置義務がない(327Ⅰ)ため、349条3項が適用される。

イ× 3ヶ月に1回以上報告しなければならない(363Ⅱ)

ウ○ 取締役会は、会社の業務執行について監査する地位にあるため。

エ○ 取締役の報酬が具体的に定められた場合、その報酬額が契約当事者を拘束するから、取締役の同意がない限り、報酬請求権を失わない。

オ× 「賛成したものと推定する」(369Ⅴ)


問21

ア○ 取締役の任期(332Ⅰ、Ⅳ)

イ× 社外取締役の設置義務(327の2)

ウ○ 監査等委員会による取締役会の招集(399の14)指名委員会等設置会社の取締役会の運営(417Ⅰ、2Ⅻ)

エ× 「監査役は取締役会に出席し、必要があると認めるときは意見を述べなければならない」(383Ⅰ)

オ× 監査役会設置会社は、取締役会の設置義務があり(327Ⅰ)、取締役会は「株式会社の〜に係る決定」を取締役に委任することができない(362Ⅳ⑥)

監査等委員会設置会社は362条の規定に関わらず当該決定を行う(399の13Ⅰ①ハ)

指名委員会等設置会社は、当該決定を取締役に委任することができない(416Ⅲ)※例外を除き、指名委員会等設置会社の業務執行の決定を執行役に委任することができる(416Ⅳ)


問22

ア○ 会社に損害が生じた場合、取締役会の承認を受けていたか否かにかかわらず、任務を怠ったものと推定される(423Ⅲ)

イ× 当該取引によって得た利益の額が、損害の額と推定される(423Ⅱ)

ウ× 推定されるのは任務懈怠であり、損害額ではない(423Ⅲ)

エ○ 428条1項により無過失責任を負うのは、自己のために直接取引した取締役に限られる。第三者と取引することを決定した“当該代表取締役の”責めに帰することができない事由によるものであることが証明できれば、同条は適用されず、免責される。

オ× 無過失責任を負うことになるのは、自己のために直接取引をした取締役に限られる(428Ⅰ)


問23

ア○ 吸収合併契約等の承認等(783)事業譲渡等の承認を要しない場合(468Ⅰ)

イ× 消滅会社は吸収合併によって当然に解散する。事業譲渡の場合は、単に取引行為によって事業が譲渡されるだけなので、会社は当然には解散しない(471)

ウ× 吸収合併の無効は、その効力が生じた日から6ヶ月以内に、訴えをもってのみ主張できる(828Ⅰ⑦)事業譲渡の場合は、一般の取引行為と同様に、訴えによらなくても無効を主張できる。

エ× そのような規定はない。

オ○ 「金銭等」(749Ⅰ②)とは、「金銭その他の財産」である(151Ⅰ)事業譲渡においても、取引契約の一種であるから、当事者が自由に決めることができる。


問24

1○ 取り消しと無効に実質的な差異はなく、法律関係の安定の趣旨のもとに手続き上の差異を設けたにすぎないため、最初から訴訟が提起されていたものとして問題ない。

2○ 瑕疵が継続する限り、以後の株主総会において、新たに取締役を選任することはできないものと解される。

3○ 第二決議が有効であることが確定した場合には、第一決議を取り消すことで、遡って効力を生じさせる必要がなくなるので、訴えの利益を欠く。

4× 相続人は被相続人の法律上の地位を包括的に承継するから、訴訟の原告たる地位を承継する。

5○ 手続きの適正をはかる法の趣旨を没却するため。


問25

ア○ 剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定め(459Ⅰ④)

イ× 金銭分配請求権を定めるかどうかは任意である(454Ⅳ①)

ウ○ 資本金の額及び準備金の額(445Ⅳ)→準備金の計上(会社計算規則22Ⅰ①)

エ× 職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明すれば義務を免れる(464Ⅰ)

オ○ 欠損が生じた場合の責任(465Ⅰ⑩イ)


問26

ア× 取締役が清算人となる(478Ⅰ、Ⅱ)

イ○ 清算株式会社についての破産手続の開始(484Ⅰ)

ウ○ 清算事務の終了等(507Ⅳ)

エ○ 帳簿資料の保存(508Ⅰ)

オ× 法人格は、清算が結了しても、清算結了の登記をするまでは消滅しない(473、476)


問27

ア×引き継ぎに関しては当事者間で自由に決められる。譲渡が行われたことの法律効果として当然に移転することはない。

イ○ 「事業」とは、組織化され有機一体として機能する財産のことであり、「譲渡した」というには、譲受人に事業活動を受け継がせることが必要である。

ウ× 「当事者の別段の意思表示がない限り」(会社法21Ⅰ、商法16Ⅰ)競業避止義務は任意規定であり、軽減、免除、加重が可能である。

エ○ 詐害譲渡の場合は、商号の続用は無関係である(会社法23の2Ⅰ、商法18の2Ⅰ)

オ× 譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り、会社法22条1項が類推適用される。


問28

商法

ア× そのような規定はない。

イ○ 通知義務(27)

ウ○ 当事者の氏名等を相手方に示さない場合(549)

エ○ 代理商に関する規定の準用(557)→代理商の留置権(31)

オ× 557条は28条1項1号を準用していない。


問29

ア○ 引受けの効力(手形法78Ⅰ、28Ⅰ)支払保証の効力(小切手法55Ⅰ)

イ× 小切手も白地小切手として有効になり得る。小切手法13条は、手形法10条と同様に、白地小切手が認められることを前提に、不当補充について規定している。

ウ× 約束手形に関しては、一覧後定期払及び日附後定期払の他にも、確定日払、一覧払が認められている(手形法77Ⅱ、33Ⅰ)が、小切手に関しては、一覧払しか認められていない(小切手法28Ⅰ)

手形には、「信用の手段」すなわち支払いを繰り延べる手段としての機能があるのに対し、小切手には「支払の手段」、現金の代用としての機能があるためである。

エ× 約束手形の支払約束は「単純」でなければならない(手形法75Ⅱ)から、条件を付すことは許されない。小切手の支払委託もまた「単純」でなければならない(小切手法Ⅰ②)

オ○ 受取人の記載(小切手法5Ⅰ)


問30

ア○ 裏書の連続は、手形の所持人を権利者と推定するという形式的な資格の問題であって、実質的権利の帰属とは関係ない。権利者と推定されることはないが、権利を行使することはできる。

イ× 裏書の連続は形式的、外形的に判断される。通称の場合、実質的には有効であるが、記載上は別人であるため、裏書の連続はない。

ウ○ 手形法16条1項の「看做す」は推定するの意味と解される。権利行使を拒めないのは行き過ぎであるため。

エ× その抹消が権限のある者によってされたことを所持人が証明するまでもなく、被裏書人欄のみが抹消された場合には、白地式裏書となる。

オ× 裏書署名と対照して、受取人は個人名をさすと解されるから、裏書は連続する。