【司法試験予備試験】R4短答解説(憲法)
問1
イ×法人も、その活動内容は、固有の性格と矛盾しない範囲において人権による保障に値するものであるから、精神的自由権が自然人とだけ結合するものと解することはできない。後段は誤り。
ウ× 天皇や皇族も日本国籍を有する日本国民であるが、その地位や職務の特殊性から、一般の国民とは異なり、後段に列挙された人権について一定の制約を受けることも合理的である。後段は誤り。
問2
ア○ 京都府学連事件(百選Ⅰ16)
イ○ 人格的生存説に立っても、どのような権利、自由が人格的生存にとって不可欠であるかは必ずしも明らかでない。
ウ× 行政が管理する個人情報を、個人が閲読、訂正、抹消などを請求することが必要であるとの考えから、自由的側面のみならず、公権力に対して積極的にプライバシーの保護を求める側面が重視されるようになっている。
問3
津地鎮祭事件(百選Ⅰ42)
ア× aからbが導かれる。
イ× bがaの前提となっている。
ウ○ bはaの批判である。
問4
ア× 集合住宅へのビラ投函と表現の自由(百選Ⅰ58)
表現の内容自体が問題なのではなく、表現の自由の行使の方法、態様が問題である。
イ× 公立図書館の蔵書と著作者の表現の自由(百選Ⅰ70)
“すでに著作物が閲覧に供された場合に”、それを不当に破棄することで人格的利益の侵害となるのであって、図書館には著作者から著作物を購入する法的義務はない。
ウ× 取材源の秘匿と表現の自由(百選Ⅰ71)
秘密と証言の比較衡量で決すべき。
問5
ア× 旭川学テ事件(百選Ⅱ136)
教育内容決定権の帰属に関する結論は当然には導き出されない。
イ○ 旭川学テ事件(百選Ⅱ136)
「国は、国政の一部として広く適切な教育政策を樹立、実施すべく、…必要かつ相当と認められる範囲において、教育内容についても、これを決定する権能を有する。」
ウ× 「無償」とは授業料不徴収の意(百選ⅡA11)
問6
ア× 成田新法事件(百選Ⅱ109)
制限を受ける権利利益と達成しようとする公益を総合較量して決すべきであり、必ずしもそのような機会を与えることを必要とするものではない。
ウ× 交通事故の報告義務と黙秘権(百選Ⅱ117)
氏名は「自己が刑事上の責任を問われる虞のある事項」に当たらない。
問7
ア○
イ× 天皇に対して責任を負うのみで、憲法上は議会に対して一切責任を負わなかった。
ウ× ポツダム宣言を受諾した段階で、天皇主権が否定されるとともに国民主権が成立したと解し、法的に一種の革命があったとみる説である。
問8
ア× 投票の秘密(百選Ⅱ159)
「選挙権のない者又はいわゆる代理投票をした者の投票についても、その投票が何人に対してなされたかは、議員の当選の効力を定める手続きにおいて、取り調べてはならない」
イ× 三井美唄労組事件(百選Ⅱ144)
「組合員に対し、勧告又は説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分するが如きは、組合の統制権の限界を越えるものとして違法といわねばならない。」としている。
ウ○ 選挙権、被選挙権の本質と選挙の公正(百選Ⅱ146)
問9
ア○ bはaの根拠である。
イ× bはaと矛盾している。
ウ× bはaの批判である。
問10
ア○ 不出頭、書類不提出、宣誓、証言拒絶の罪(議院証言法7条)
イ× 議院が裁判所と異なる目的から、裁判と並行して調査することは、司法権の侵害となるものではない。
ウ×国民の知る権利に応える目的で行うことも許されると解する説もある。
問11
ア○ 税関検査事件(百選Ⅰ69)
bはaの批判である。
イ○ 岩教組学テ事件(百選Ⅱ143)
bはaの批判である。
bはaと無関係である。
問12
ア× 徳島市公安条例事件(百選Ⅰ83)
法令全体からみて、規制の欠如が、その事項につあて、いかなる規制をも施さず放置すべきものであると解される場合は、国の法令に違反することがある。
イ× 条例における罰則(百選Ⅱ208)
「相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りる」
ウ○ 地域による取り扱いの差異と地方自治(百選Ⅰ32)
「憲法が各地方公共団体の条例制定権を定める以上、地域によって差別が生じることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法自ら容認するところである」